- トラクター選びで馬力の目安を知りたい
- 馬力によって何が違うのか確認したい
トラクターを選ぶ際に、馬力はとても重要な指標となります。
しかし、インターネット上の一般論だけ鵜呑みにして、馬力を選ぶと後悔する可能性が高いです。
なぜなら、稲作か畑作かで求められる馬力が違ったり、馬力によってつけられる作業機の幅などが決まってくるからです。
インターネットには、様々な状況を踏まえた上での基準があまり掲載されていませんでした。
特に作業機の幅は作業効率が関わるので、作業効率を考えずにトラクターの馬力を選んでしまうと、気が遠くなるような作業を毎日行わなければならなくなります。
この記事は、全国33箇所に拠点を持ち、地域密着かつ全国対応している農機具の買取と販売を行っている農機具王でWEB担当をしている私が書きます!
この記事では
- 稲作・畑作それぞれ必要なトラクターの馬力目安
- 圃場面積に応じたトラクターの馬力目安
- 上記2点を踏まえた上でのトラクターの馬力を選ぶコツ
についてまとめて解説します。
この記事を参考にすれば、トラクターを選んだりする際の馬力の目安が見えてきて、トラクター選びの後悔を減らすことができるでしょう。
それではどうぞ。
日本国内のトラクターは25〜35馬力が目安
国内の4メーカー、クボタ・ヤンマー・イセキ・三菱マヒンドラのトラクターラインナップを見ると、25〜35馬力のトラクターが多いです。
25〜35馬力の機種が多いということは、一番求められていることがわかります。
ただし、あくまで一般論だということを忘れてはいけません。
選ぶべきトラクターは、農業の種類や圃場面積で大きく変わります。
まずは農業の種類から見ていきましょう!
ハウス内の使用や圃場面積が1ha以下の場合を除いて、様々な状況を鑑みると30馬力以上のものを購入するのがおすすめです。理由は読み進めて確認してください。
→メーカーについて理解を深めたい方はこちらの記事を参考にしてください。
農業の種類と必要なトラクター数と馬力目安
トラクターの馬力で一番考慮しなければいけないポイントは、どのような農業を行うかです。
どのような農業を行うかが一番の馬力を選ぶ目安となります。
特にトラクターが必要な農業の現場が以下の2種類です。
- 稲作
- 畑作
それぞれの馬力目安についてご紹介します。
稲作の場合
稲作は水田で利用する特徴から、トラクターの馬力を選ぶ必要があります。
稲作で使われるトラクターの台数は1台
稲作の現場では、トラクターの保有台数は1台のところが多いです。
田植え機で苗を植えたり、コンバインで稲刈をするので、トラクターの役割は、耕起と代掻きと施肥がメインになります。
メイン作業を各機械で分けているので、1台で十分な場合が多いです。
30〜50馬力のものがよく使われている
水田の作業では、実は50馬力以上だと機体が重すぎて土を固めてしまう場合があります。
その理由から、30〜50馬力のものが使われることが多いです。
馬力が強すぎて重すぎるのも良くないし、馬力が30以下になると、ロータリーやハローの作業幅が短くなりすぎて、作業効率が悪くなってしまいます。
大規模の圃場は後輪がクローラーのトラクターも使われる
問題となってくるのが圃場面積が広い場合、50馬力ではつけられる作業機の幅が狭くなってしまうので、とにかく作業効率が悪いです。
そこでそのような農家では後輪がクローラーになっているものが使われています。
クローラーとは戦車のキャタピラーのようなものです。設置面積を広げることでピンポイントで土に圧力をかけずに済むのです。
畑作の場合
畑作の場合、作物の種類によって必要なものが変わります。
稲作のように大体これぐらいの馬力とは一概にいえないのも特徴です。
その理由として、畑作の場合トラクターを使う頻度が稲作と比べて3〜7倍ほどあります。
稲作は施肥、耕うん、代掻きの3回に済むのに対して、畑作は、施肥、耕うん、整地、播種、除草、消毒、収穫と様々な作業を行います。
畑作では大体3台使う農家さんが多い
トラクターで行う作業が多いので、トラクターを3台ほど使い回す農家さんが多いです。
作業数を考えると、効率的にはトラクターは数台あったほうが良いと言えます。
畑作は稲作よりも馬力の強いものになりやすい
耕うんなどには比較的馬力が強いものが必要になります。
一概にはどのぐらいの馬力が必要かは言いにくいですが、圃場面積以外を考えた場合、やはり25〜35馬力というのは無難で失敗しない選択です。
稲作か畑作の違いで、必要な馬力の目安を見てきました。
次は圃場面積から考えられる必要な馬力を見ていきましょう。
圃場面積ごとのトラクター馬力目安
トラクターを選ぶ際の馬力目安は、圃場面積も参考にしてください。
馬力が大きければ大きいほど幅の広い作業機が使えます。
つまり圃場面積が広い場合、馬力が大きいものを選んだほうがよいのです。
圃場面積が広くても馬力の小さいものでも対応は可能です。
しかし作業効率が悪く、気が遠くなる作業となってしまいますので、気をつけてください。
30馬力で20haが適正だと言われていますが、鵜呑みにしないようにしましょう。実際の現場での作業効率を考えると現実的じゃない選択をしてしまいます。
中型農家以上の場合(10ha以上)
10ha以上の農家さんが、中型農家さんという前提で話を進めさせて頂きます。
大体10haぐらいの圃場にオススメなのが40馬力前後のトラクターです。
20haで30馬力という基準もありますが、とても作業時間がかかってしまうので、現実的ではありません。
50馬力であれば幅2mのロータリーが使えますし、25馬力であれば幅1m50cmのロータリーが使えます。
この50センチの差は作業効率に大きく作用するので、10ha以上の面積の広い圃場の場合は、40馬力以上と考えたほうが無難です。
一般農家・兼業農家の場合(5〜10ha)
5〜10haぐらいの圃場面積で初めて25〜35馬力のトラクターがオススメです。
実際に5haのさつまいも農家さんは、50馬力のトラクターを使って効率的に作業する事例もあります。
ハウス内や小さな圃場の場合(1〜5ha)
そこまで広くない圃場面積でも16〜25馬力のトラクターを選ぶのが無難です。
圃場面積と少し離れますが、16馬力以上のトラクターであれば、作業機の設置が3点リンクで行えます。
15馬力より小さな馬力のトラクターだと2点リンクとなってしまいます。
問題となるのが作業機の種類が減ることです。
狭い圃場だとしても16馬力をオススメします。
圃場面積という広さだけで判断するのではなく、作業効率を考えるのが大事だと書かせて頂きました。
気が遠くなるような作業にならないよう、しっかり適切なトラクターの馬力を探していってください。
トラクターの作業機ごとに必要な馬力目安
ロータリーが12馬力。ブームスプレーヤ25馬力。サブソイラ20〜70馬力。
以上のような情報がインターネットに載っていましたが、基本的には、各馬力に対応した作業機が販売されています。
まずは農作業の種類や作物、圃場面積から作業効率を踏まえてトラクターの馬力を考えましょう。
最終確認として使いたい作業機に必要な馬力があるかどうかで判断しましょう。
トラクターとは農作業の万能選手!基礎知識から選ぶコツまでご紹介
→トラクターでできる作業に関してまとめられた記事です。参考にどうぞ。
圃場の土質が粘土質であれば30馬力以上
粘土質以外であれば25馬力以上
のものを選ぶのが良いとされています。
トラクターの馬力を選ぶコツ
トラクターの馬力を選ぶコツは2つです。
- 自分と環境が似ている農家さんに話を聞きにいく
- どのぐらいの面積でどんな作業が必要か洗い出す
まずは1.を探してましょう。
見つからない場合は、2.を実施してください。
自分と環境が似ている農家さんに話を聞きにいく
まず圃場面積が近くて、同じ作物の農家さんを探してください。
その人の話を聞くのが間違いありません。
真似をするのではなくお話を聞いて参考にしてください。
必ずしも最適化された農家さんばかりではありません。
困っていることとか、後悔していることなど、聞いてみたら参考になる情報がたくさんわかります。
そのような農家さんの探し方は、農家さんとのつながりがある農機具屋に聞くのがオススメです。
現場で様々な事例を知っている農機具屋さんから聞いても参考になると思いますが、本当の農業の現場に立つ人から聞いたほうが参考になります。
どのぐらいの面積でどんな作業が必要か洗い出す
どうしても聞けなかった場合は、この記事を参考にして上記の農業の種類や作物、圃場面積から、最適な馬力を探しだしましょう。
あくまでご自身で考えた上で農機具屋などに相談することをオススメします。
新車価格:馬力×10万円
中古価格:馬力×3万円
と言われています。
まとめ:環境と作りたいものでしっかり考えよう!
お付き合い頂きありがとうございました。
まとめると以下の通りです。
- トラクターの馬力を考えるとき、まずは自分が何を作るのかを目安にする
- その後に圃場面積と作業効率について考える
- できれば同じ環境の農家さんに話を聞く
- 難しければ農機具屋の話を参考にする
先走って、急いで決めてしまわずに、この記事を参考にしたら、農家さんか農機具屋に相談してください。
もしトラクターの買取を考えている方は、農機具王のトラクター買取ページも参考にしてください。
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