- トラクターってどんな作業ができるの?
- そもそもトラクターって何?
トラクターのことを知りたいと思っても、なかなか情報が少ないですよね。
特に新規就農を考えている方は、トラクターで何ができるのか気になると思います。

全国33店舗を構える農機具の販売と買取を行っている農機具王のWEB担当テノが書いていきます!
この記事ではトラクターの、概要、歴史、可能な作業、選び方をまとめました。
この記事を読めば
- トラクターについて全体像を理解できるようになります。
結論、トラクターの可能性を知れば、農作業の幅をもたせることができます。
それではどうぞ。
トラクターとは農作業の万能選手
トラクターとは、人の力では引っ張れないようなものを引く車の総称です。
作業機を付け替えて、様々な農作業に対応してくれる、農作業の万能選手とも言えるでしょう。
後ほど紹介しますが、作業機を切り替えれば、農作業のほとんどができてしまうのです!
トラクターの特徴的な構造
トラクターは重労働を効率的にこなすため、他の乗り物にはない特有の構造を持っています。以下に主要な構造の特徴を解説します。
1. 作業機を取り付けるための装備
- トラクターの最大の特徴は、作業機(アタッチメント)を装着して様々な作業を行える点です。
- 後部に作業機を取り付けるための3点リンク機構を備え、これにより耕うん、代掻き、施肥などの作業機を簡単に交換・固定できます。
2. PTOシャフト(動力取り出し装置)
- PTO(Power Take-Off)シャフトは、エンジンの動力を作業機に伝える装置です。
- トラクターは牽引するだけでなく、回転する作業機(ロータリーやプラウなど)を動かすことができ、これにより作業の幅が広がります。
- PTOには速度調整機能があり、作業内容に応じた効率的な動力供給が可能です。
3. 高出力ディーゼルエンジン
- トラクターは高い負荷の作業に対応するため、低燃費で高出力のディーゼルエンジンを搭載しています。
- 大きな馬力を必要とする重作業(深耕や大型作業機の牽引など)でも安定した動力を発揮します。
4. グリップ力の高い大型タイヤ
- トラクターのタイヤは、どのような地形や土壌でも走行できるよう、グリップ力が高く溝の深いタイヤが使用されています。
- 一部のモデルでは、タイヤではなく**履帯式(クローラー)**を採用し、さらに強力な牽引力と安定性を実現しています。
5. ウェイト(バランス調整用のおもり)
- トラクターは重い作業機を牽引するため、バランスを取るために**前部にウェイト(おもり)**が取り付けられています。
- 作業機の重さや作業環境に応じて、ウェイトを増減させることで走行や作業の安定性を保ちます。
6. ROPS(転倒時運転者保護装置)
- 安全性を高めるため、転倒時に運転者を守るROPS(Roll Over Protection Structure)フレームが装備されています。
- 必要に応じて着脱可能なモデルもあり、作業環境に合わせて柔軟に対応できます。
7. 変速機構(トランスミッション)
最近のモデルには、自動変速や無段変速を備えたものもあり、操作性が向上しています。
トラクターには多段変速機が搭載されており、作業内容や地形に応じて最適な速度に切り替えが可能です。
これらの特徴的な構造により、トラクターはあらゆる農作業に対応できる「万能選手」として活躍します。高出力エンジン、作業機を駆動するPTOシャフト、グリップ力の高いタイヤといった工夫が、効率的かつ安全な農作業を可能にしているのです。
さらに詳しく知りたい場合は、各メーカーの公式サイトなどで最新のモデル情報を確認してみてください!

トラクターがなぜここまで高機能で便利になったのか、それはトラクターの歴史を紐解くとわかります!
トラクターの歴史
農業用トラクターは、人力や家畜に依存していた農業を一変させた画期的な発明です。その歴史を国内外に分けて詳しく解説します。
1. 世界のトラクターの歴史
① 蒸気機関から始まる初期のトラクター
- 19世紀前半、最初のトラクターは蒸気機関を動力とするものでした。これらは非常に大きく、牽引力は高かったものの、運転が難しく燃料効率も悪かったため普及は限定的でした。
- 1850年代には、蒸気エンジンを利用して作業機を動かす「蒸気トラクター」が一部の大規模農家で使われ始めます。
② 内燃機関の導入と普及
- 1890年代後半、ドイツの技術者が初めて内燃機関を搭載したトラクターを開発。これが現代のトラクターの原型となります。
- 1901年、アメリカのホルト社が内燃機関を搭載した「ガソリントラクター」を製造。蒸気トラクターに比べて操作性が向上し、普及のきっかけとなりました。
- 1917年には、アメリカのフォード社が「フォードソン」という廉価なガソリンエンジン式トラクターを開発し、トラクターの大衆化が進みます。このモデルは信頼性と価格の安さから一気に普及し、20世紀初頭の農業革命に貢献しました。
③ 戦時中の技術革新
- 第一次・第二次世界大戦中、戦車の開発技術がトラクターの改良に大きく影響を与えました。特に履帯(クローラー)技術はトラクターにも応用され、牽引力が向上しました。
- 戦争の影響で金属の供給が制限された時期には、一部の農家で木製トラクターも製造されていたというエピソードがあります。
④ 戦後の農業機械化と現代のトラクター
- 1950年代以降、欧米諸国では農業の大規模化が進み、ディーゼルエンジンを搭載したトラクターが主流となりました。
- 1980年代以降、電子制御システムや自動変速機能が導入され、効率的な作業を可能にする高性能トラクターが登場。
- 2000年代にはGPSやセンサーを用いた自動運転技術が開発され、現在では無人トラクターが農作業の一部を担うようになっています。
2. 日本のトラクターの歴史
① トラクターの導入と普及の始まり
- 日本では**大正時代(1910年代)**に初めてアメリカから蒸気トラクターが輸入されました。ただし、当時は非常に高価で限られた大規模農家でしか使われませんでした。
- 1924年、日本国内で初の国産トラクター「ライラック号」が山田鉄工所によって製造されます。しかし、ガソリン価格や機械の高額さから普及には至りませんでした。
② 戦後の国産トラクター開発
- 1950年代、戦後の復興と農業改革の中で農業の機械化が進みました。この頃、欧米からのトラクター輸入が増え、農作業の効率化が図られました。
- 1957年、現在の国内大手メーカーであるクボタが「T15」というガソリントラクターを製造。その後、ヤンマー、イセキ(三菱農機の前身)などが続々と参入し、日本国内でトラクターの国産化が進みます。
③ ディーゼルトラクターの登場と普及
- 1960年代には、低燃費かつ高出力のディーゼルエンジンを搭載したトラクターが登場。これにより中小規模の農家にも普及が進み、農業の機械化が一気に加速しました。
- 1970年代には、トラクターによる水田作業の効率化が進み、ロータリー耕耘機を搭載したモデルが主流となります。
④ 現代の日本のトラクター
- 1980年代以降は、国内メーカーがこぞって高性能トラクターを開発。耐久性や操作性、安全性を重視したモデルが増えました。
- 2000年代以降、クボタやヤンマーをはじめとする日本メーカーは海外市場にも積極的に進出。特にアジアやアフリカなどの新興国市場で日本製トラクターは高い評価を受けています。
- 最近では、自動運転やリモート制御が可能なスマートトラクターが登場し、効率化や省人化がさらに進んでいます。
- 世界のトラクター史は、蒸気機関から内燃機関への移行、戦争を背景とした技術革新を経て、現在のスマート農業を支える自動運転型トラクターへと進化してきました。
- 一方、日本のトラクター史は、輸入から始まり、戦後の国産化を経て国内メーカーが成長。現在では国内市場だけでなく海外市場でも高いシェアを占めています。
現代の農業は、効率性と精度を求める時代へと進化し、トラクターはその象徴的な存在となっています。未来の農業に向け、トラクターはさらなる進化を遂げていくでしょう。
トラクターの未来
21世紀では、無人型トラクターをGPS機能を用いて、自動運転で作業させるなど、スマート化が進んでいます。
現在、日本の農業は離農が増えていて、集落営農などの共同で農業に取り組みから、どんどん効率化の流れが加速しています。
そんな中で、クボタの130周年記念では、夢のトラクターが公開されました。

トラクター感が全くなくて、SF映画で登場しそうです!

また日本ニューホランド株式会社のレポートで、世界最大の農業機械展「アグリテクニカ2019」のフォトレポートがあるので、気になる方は読んでみてください。

ここまでトラクターの概要について説明してきました。
次はトラクターがどれほどの万能選手なのか、実際にできる作業についてご紹介します。
トラクターでできる作業と作業機
トラクターでできる作業はこちら。
- 耕起(こうき)
- 代掻き(しろかき)
- 施肥(せひ)
- 消毒
- 畝立て(うねたて)
- マルチ
- 播種(はしゅ)
- 除雪
- 草刈り
これほどの作業が行えるのは、作業機があればの話なので、作業機の値段なども考慮して、何ができるのか確認してください。
それでは一つずつ作業と作業機の紹介をしてきます。
耕起(こうき)
耕起とは、土を耕すことです。掘り起こしたり返したりします。
目的としては以下の通りです。
- 土をほぐす
- 雑草の引き抜きや細断
- 土壌のかき混ぜ
- 乾燥の防止
- 鍬床をほぐす
農業においては植え付けの前に行う作業です。
・ロータリー
・プラウ
ロータリー


一般的にはロータリーを使うことがほとんどです。
特に水田の耕起ではロータリー1つで作業がすべて済ませることができます。
馬力の強くトラクターの作業が可能です。
プラウ


プラウはロータリーと違い、深く耕すことができます。
その分、抵抗が大きいので馬力の強いトラクターが必要です。
また耕起後に整地作業が必要になります。
代掻き(しろかき)
水の入った田んぼの土を砕いて平らにするのが代掻きです。
代掻きを行わないと、平ではないことで、稲が沈んだり、水が届かなくなってしまいます。
・代掻きハロー
・ロータリー
代掻きハロー


ハローは、代掻き専用なので、より平らにすることができます。
均平精度がたかくなるので、成長のムラなどにも効果があります。
道路通行時に車の邪魔になったり、車庫に収納しやすいということで、現在はおりたたみのハローが人気です。
ロータリー
代掻きはロータリーでも代用可能ですが、やはり代掻き専用のドライブハローには劣ります。
またロータリーで代掻きを行うには技術が必要とされているので、しっかり検討してください。
施肥(せひ)
施肥は直接農作物に影響を与える重要な作業です。
均一に散布する必要があります。
・ブロードキャスター
・肥料散布機
・マニュアスプレッダー
ブロードキャスター


2種類の散布方法があります。
1つはフリッカー式と呼ばれ、機械を振動させることが肥料を散布。
もう一つはスピンナー式。円盤を回転させて肥料を散布します。
肥料を広範囲に遠心力で飛ばし時間短縮する反面、均一性はやや劣ります。
肥料散布機


ブロードキャスターと比べて、散布範囲が狭いです。
時間がかかる反面、均一に散布することができます。
各メーカーで名前が違い、ライムソワー、グランドソワー、サンソワーなどがあります。
マニュアスプレッダー


肥料をほぐし均一に全面散布する機械です。
作業能率が高く、利用範囲も広く、よく利用されています。
消毒
農作物を連作していると、土壌の栄養が偏ったり、害虫が増加したりします。
そのために土壌消毒が必要です。
・ブームスプレーヤ
ブームスプレーヤ


トラクターに取り付けて、広範囲の消毒や除草剤を散布することができます。
畝立て(うねたて)


畝を立てると撥水性や通気性に効果があります。
根張りもよくなるので必要な作業です。
・培土機
マルチ


マルチとは畝をポリエチレンフィルムなどで多いことです。
土の乾燥や病気の伝染を防いだり、土の温度の調整ができます。
・マルチロータリ
播種(はしゅ)
種まきのことです。
・播種機
播種機


除雪


積雪の多い地域では除雪も大切な仕事です。
パワーのあるトラクターを使って行うこともできます。
・スノーラッセル
草刈り


トラクターに取り付けるタイプの草刈り機です。
・フレールモア

ここまでトラクターでできる作業を見てきました。
作業機の種類だけ様々な作業ができるトラクターはやはり農家には欠かせないことがご理解頂けたと思います。
次はトラクターを選ぶコツについてご紹介します。
トラクターを選ぶコツ
新規就農をする方は、トラクターの選び方も大事です。
ここでは、主要の国内トラクターメーカー4選と中古トラクターについてご紹介します。
国内主要トラクターメーカー4選
- クボタ
- ヤンマー
- イセキ
- 三菱マヒンドラ
まず上記の4メーカーから選べば間違いありません。
各メーカーの詳しい情報は以下の記事に記載しています。
中古トラクター
日本メーカーのトラクターは壊れにくいと評判が良いです。
海外などの新興国では日本の2〜30年前の年式のトラクターが高値で取引されています。
ただし、状態が良いものを探す必要があるので、きちんと状態を記載しているところから購入しましょう。
メルカリやヤフーオークションなどでは、破格の値段でトラクターが販売している場合があります。しかし、それはジャンク品などの可能性が高いです。
個人出品ではなく、きちんと販売元を確認してから購入してください。
まとめ
ここまで、トラクターの基本知識から歴史、実際に行える作業、さらに選び方のコツまで詳しくご紹介してきました。トラクターは、耕起や代掻き、施肥、消毒、播種など多岐にわたる農作業を支える「万能選手」です。その機能性を最大限に引き出すためには、適切な作業機を選び、用途に合った使い方をすることが重要です。
また、トラクターの進化の背景には、農業の効率化を求める長い歴史があり、21世紀に入ってからは自動運転やスマート農業の導入により、さらに便利で効率的な未来が広がっています。そして選び方においては、国内の主要4メーカー(クボタ、ヤンマー、イセキ、三菱マヒンドラ)を中心に検討することで、修理やメンテナンスの面でも安心して長く使えるでしょう。
中古トラクターを選ぶ際には、価格の安さに飛びつくのではなく、販売元の信頼性や状態をしっかり見極めることが大切です。正しい選択をすれば、中古トラクターでも十分に長期間活躍してくれるでしょう。
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