トラクターの価格は、さまざまな要因で決まります。
代表的な指標として、新品トラクターの価格は「1馬力×10万円」が目安とされています。しかし、実際の価格はこれだけで判断できるわけではありません。メーカーやモデル、さらには馬力や用途、新品か中古かといった複数の要素によって価格は大きく変動します。
この記事では、トラクターの価格相場について、複数の視点から価格の傾向や違いを調査し、詳しく解説していきます。トラクターの購入を検討している方や、どのメーカーやモデルを選ぶべきか迷っている方、あるいは中古トラクターを探している方にとって、この記事が参考になるはずです。
2023年には新車トラクターの価格が高騰しており、これを踏まえ、最新の価格データも反映しています。今後の購入計画や、農業機器の売買にぜひ役立ててください。
トラクターの価格を左右する4つの要因
まず、トラクターの価格を左右する主な要因として、次の4つの要素が挙げられます。
- メーカー
- 馬力
- 用途
- 新品か中古か
トラクターは、メーカーによっても大きな価格差があります。また、馬力が大きいほどトラクターの価格も上がる傾向にあり、さらに購入時に選ぶアタッチメントや機能も価格に影響を与えます。
そして、何よりも大きな違いがあるのは新品か中古かです。同じモデルでも、新品の場合と中古では価格に大きな差が生じます。
これらの要素を把握することで、トラクターの購入に関する賢い選択ができるようになります。次に、それぞれの要因ごとに、具体的な価格例を見ていきましょう。
価格を見て比較しているので、どのような価格差があるかをご覧ください。
メーカーで比較するトラクターの価格
まず、メーカー別にトラクターの価格を比較していきます。ここでは、100馬力のトラクターを基準に、主要メーカーであるクボタ、ヤンマー、イセキの3社の製品価格を見ていきましょう。
それぞれのメーカーには、独自の強みや特徴があり、価格にも違いが見られます。同じ馬力のトラクターでも、メーカーごとに価格が異なることを理解することが、正しい選択につながります。
クボタのトラクター価格
クボタは、日本国内でトップシェアを誇る農機具メーカーで、特にその高い信頼性とメンテナンスのしやすさで知られています。クボタの100馬力のトラクターは、以下の価格帯となっています。
型名 | 馬力 | 価格 | 1馬力あたりの金額 |
MR1000H | 100 | 13,250,600円 | 132,506円 |
M100GE | 100 | 13,796,200円 | 137,962円 |
クボタのトラクターは、メーカーの中でも高価格帯に位置しています。特に、故障が少なく耐久性が高いため、長期的に使用することを考えると、その価格に見合った価値があると言えるでしょう。また、クボタのトラクターは海外でも人気が高く、国内外問わず需要があります。
ヤンマーのトラクター価格
次に紹介するのは、クボタに次ぐ国内シェア2位を誇るヤンマーのトラクターです。ヤンマーのトラクターは、操作性やデザイン性に優れており、特に初めてトラクターを扱う人にも人気があります。
型名 | 馬力 | 価格 | 1馬力あたりの金額 |
YT498R | 98 | 12,529,000円 | 127,846円 |
YT4104R | 104 | 12,760,000円 | 122,692円 |
ヤンマーのトラクターは、クボタと比較するとやや低価格です。しかし、その品質や操作性には定評があり、価格以上のパフォーマンスを発揮します。特に、燃費性能やエコモードなど、環境に配慮した機能も搭載されており、持続可能な農業を目指す方にとっては魅力的です。
イセキのトラクター価格
最後に、国内シェア第3位のイセキのトラクター価格を見ていきます。イセキのトラクターは、価格の安さと整備のしやすさが特徴で、小規模農家から大型農場まで幅広く利用されています。
型名 | 馬力 | 価格 | 1馬力あたりの金額 |
BIG-T5711S | 110 | 13,601,520円 | 123,650円 |
TJW1153 | 115 | 12,120,840円 | 105,398円 |
イセキのトラクターは、クボタやヤンマーと比較して、1馬力あたりの価格が安価で、コストパフォーマンスが高いことが特徴です。特に、大型トラクターを求める農家にとっては、メンテナンスのしやすさや部品の入手のしやすさが重要なポイントとなります。
馬力で比較するトラクターの価格
トラクターの価格に最も大きく影響を与える要素の一つが馬力です。一般的には、1馬力あたり10万円がトラクターの価格目安とされていますが、実際の価格は馬力が増えるに従ってさらに高くなります。
ここでは、馬力ごとに分けて価格を比較していきます。馬力が異なると、作業効率や対応できる作業範囲も異なるため、自身の作業内容に合った馬力を選ぶことが重要です。
20馬力以下のトラクター価格
まずは、20馬力以下のトラクター価格を見ていきます。このクラスのトラクターは、小規模な農場や庭園での使用に適しており、価格も比較的手頃です。
メーカー | 型名 | 馬力 | 価格 | 1馬力あたりの金額 |
クボタ | NB19 | 19 | 2,262,700円 | 119,089円 |
ヤンマー | YT120 | 20 | 1,881,100円 | 94,055円 |
このクラスでは、1馬力あたりの価格が9万円から12万円程度です。馬力が低い分、価格も抑えられていますが、各メーカーごとの違いが明確に現れています。
40~50馬力のトラクター価格
次に、40~50馬力のトラクター価格を見ていきましょう。このクラスになると、中規模の農場で使用されることが多く、さまざまな作業に対応できるようになります。
メーカー | 型名 | 馬力 | 価格 | 1馬力あたりの金額 |
クボタ | SL450HCQ | 45 | 6,895,900円 | 153,242円 |
ヤンマー | YT345J | 45 | 7,166,500円 | 159,255円 |
40~50馬力のクラスでは、1馬力あたりの価格が15万円を超えており、20馬力クラスと比較して約500万円もの価格差が見られます。この価格帯になると、トラクターの機能も向上し、作業効率も大幅にアップします。
60~70馬力のトラクター価格
さらに60~70馬力のトラクター価格を見ていきます。大型農場や広範囲の農作業に最適なクラスであり、パワフルな作業が可能です。
メーカー | 型名 | 馬力 | 価格 | 1馬力あたりの金額 |
クボタ | MR600H | 60 | 9,086,000円 | 151,433円 |
ヤンマー | YT460A | 60 | 7,832,000円 | 130,533円 |
このクラスのトラクターは、大型農機具として非常に高い作業能力を持っており、価格も高額です。1馬力あたりの価格は13万円~15万円の間となり、総額で700万円~900万円程度の価格帯です。
新車と中古のトラクターの価格を比較
最後に、新車と中古トラクターの価格を比較していきます。ここでは、80馬力のトラクターを例に、新車と中古の価格差を見てみましょう。
80馬力の新車トラクター価格
新車の80馬力トラクターの価格は以下の通りです。
メーカー | 型名 | 価格 |
クボタ | MR800 | 10,312,500円 |
三菱マヒンドラ農機 | GV800 | 8,723,000円 |
80馬力の中古トラクター価格
一方、中古の80馬力トラクターの価格は次のようになります。
メーカー | 型名 | 価格 |
クボタ | SMZ805 | 4,500,000円 |
ヤンマー | CT801 | 1,599,999円 |
このように、同じ80馬力のトラクターでも、新品と中古では大きな価格差があります。中古トラクターは、状態が良ければ新品の半額程度で購入できることもあり、費用を抑えたい方にとって非常に有利な選択肢となります。
2023年から農機メーカーが相次ぐ値上げ
日本農業新聞によると、2023年4月にクボタとイセキが値上げを発表して7月にはヤンマーと三菱マヒンドラ農機も値上げを発表しました。各社の値上げ幅は5%ほどです。原材料や物流経費の上昇が理由となっています。
今後も値上げが続く可能性があります。新品の購入が厳しくなってきたら、ぜひ中古商品も視野に入れてご検討いただければ幸いです。
トラクター価格相場のまとめ
トラクターの価格は、馬力やメーカー、用途、新品か中古かによって大きく変動します。自分に合ったトラクターを見つけるためには、相場をしっかりと把握し、最適な製品を選ぶことが重要です。
2023年から農機メーカーの値上げが相次いでいるため、今後も価格が上昇する可能性があります。新品の購入が厳しくなる中、予算に合った中古商品を探すことも一つの選択肢となるでしょう。
トラクターの買取を考えている方は、農機具王のトラクター買取ページで実際の買取金額などを記載しているので参考にしてください。