農機具の耐用年数と実際の寿命とは?長く使うコツも徹底解説

農機具の耐用年数は、農機具の購入で経費計上する際に、必ず知っておくべきことです。

会計上、農機具は何年で償却するべきか知らないと困ってしまいます。また実際の寿命についても知っておかないと買い替えのタイミングに備えることもできません。

この記事では、農機具の耐用年数、実際の寿命、寿命を伸ばすためのメンテナンス方法などを解説します。

  • 農機具を計画的に購入したい
  • 農機具を長持ちさせたい
  • 農機具を買取に出すタイミングを知りたい

などの方はぜひ参考にしてください。

農機具の耐用年数(減価償却費)

農機具の耐用年数は、国税庁の平成20年度税制改正で、農業用設備(農業機械)耐用年数を一律で7年に改正しています。

ほとんどの農機具の耐用年数が7年ですが、一部7年ではないものがありますのでご紹介します。

耐用年数が7年の農機具

耐用年数が7年の農機具は以下の通りです。表を見ていただければ分かる通りほとんどの農機具の耐用年数が7年だということがわかります。

種類実際の農機具(農業機械)耐用年数
トラクター トラクターなど7年
耕うん整地用機具プラウやロータリー、ハローなど。
耕土造成改良用機具溝掘り機や穴掘り機など。
栽培管理用機具田植え機や播種機、育苗期、堆肥散布機など。
穀類収穫調整用機具コンバインなど。
防除用機具 噴霧器やスピードスプレイヤーなど。
飼料作物収穫調整用器具へーレーキ、ヘーテッダーなど。
果樹、野菜又は花き 収穫調整用機具野菜洗浄機や果樹洗浄機など。
その他の農作物収穫調整用機具収穫機やい草選別機など。
農産物処理加工用機 具(精米又は精麦機 を除く)選別機や選果機など。
家畜飼養管理用機具搾乳機や自動給水器など。
運搬用機具トレーラーやリアカー、ワゴンなど。

耐用年数が7年ではない農機具

耐用年数が7年ではない農機具は以下の通りです。

  • 自走式の除雪機(10年)
  • 精米機・精麦機など(5年)
  • 乾燥用バーナー(5年)
  • きのこ栽培用ほだ木(3年)

本当に一部の農機具だけですが、耐用年数が7年ではありません。箇条書きで紹介した農機具を利用されている方がもしいましたら、覚えておきましょう。

ここまで経費計上するための耐用年数について解説してきました。続いては農機具の実際の寿命について解説していきます。

中古農機具の減価償却について

新品の農機具であれば法定耐用年数である7年で経費計上すれば良いですが、中古農機具を購入した場合は計算方法が異なります。

法定耐用年数がすべて過ぎている場合と一部過ぎている場合の減価償却の仕方をお伝えします。

法定耐用年数がすべて過ぎている場合

購入した農機具が中古で法定耐用年数がすべて過ぎている場合は、法定耐用年数の20%で計算が必要です。

例えばトラクターの法定耐用年数は7年のため、7年×20%=1.4年となります。2年未満の場合は耐用年数を2年で計算するため、2年で経費計上できます。

中古トラクターを100万円で購入した場合は、1年で計上できるのは50万円となります。

法定耐用年数が一部過ぎている場合

購入した農機具の法定耐用年数が一部過ぎている場合は、法定耐用年数から経過した年数を引き、その年数の20%に概要する年数を加えます。

例えば法定耐用年数のうち、1年経っているトラクターの場合は、7年から1年を引いて6年で計算します。

「6年×20%=1.2年」となります。2年未満のため耐用年数を2年で計算することができます。

農機具の耐用年数と寿命は異なる

農機具の耐用年数はあくまで会計上、経費計上するために使われるものです。そのため実際の寿命と耐用年数は異なります。

例えば、耐用年数は7年とされていても、トラクターの寿命は理想値にはなりますが、馬力×100時間ほどと言われています。30馬力のトラクターであれば3000時間ほどの寿命です。

3000時間を7年間で割ると年間約428時間です。年間428時間利用する方は少ないため、耐用年数と寿命は異なると言えるのではないでしょうか。

各種農機具の寿命(使用時間など)

各種農機具の一般的に言われている寿命を表でまとめました。

種類耐久時間
トラクター 1000〜2200時間程度
耕うん整地用機具15年程度
コンバイン1000〜1200時間程度
田植え機500〜600時間程度
芝刈り機10年程度
散布機10年程度
収穫機8年程度

大型のものは使用時間、小型のものは年数で表示しています。

上記に記載した農機具の寿命はあくまで理想値であり、定期的なメンテナンスがあってこそです。長く農機具を利用したい場合は、農機具の寿命を延ばすためのメンテナンス方法を学びましょう。

農機具の寿命を延ばすためのメンテナンス方法

農機具の寿命を延ばしていくためにやるべきことは以下の4つです。

  • 定期的にオイル交換を行う
  • こまめな清掃とグリスアップを行う
  • 屋内保管する(できれば)
  • 各メーカー推奨のセルフメンテナンスを行う

一つずつ確認しましょう。

定期的にオイル交換を行う

トラクターやコンバイン、田植え機などに関してですが、定期的にオイル交換を行ってください。

オイル交換を怠ってしまうと古くなったオイルがエンジン内をまわってしまい、劣化を早めます。

一般的には初回のオイル交換は50時間後、その後は200時間ごとに行います。またオイル交換だけではなくて、必ずオイルフィルターも忘れずに交換してください。

こまめな清掃とグリスアップを行う

農機具は、泥やほこり、薬剤などをついたままにしないことが重要です。使用後はこまめに清掃してください。清掃をしないことによってサビの原因になったり、泥が固まって動作に影響がでることがあります。

清掃後は、可動部にグリスアップしましょう。グリスアップは、粘度の高いグリスがおすすめです。

屋内保管する(できれば)

保管場所があれば、農機具は屋内保管することが望ましいです。

雨ざらしや直射日光は、劣化が進みやすいです。また屋内保管しておけば、盗難防止にもなります。

どうしても屋内保管が難しければ、以下の3つを意識して保管しましょう。

  1. 畑ではなくアスファルトの上に移動させる
  2. 錆止めをする
  3. ブルーシートをかける

アスファルトがない場合は鉄板やコンクリートの板などの上に置きましょう。

各メーカー推奨のセルフメンテナンスを行う

農機具のメンテナンス方法は各メーカーが情報を提供しています。ご自身の利用しているメーカーのサイトを参考にしてください。

メーカーセルフメンテナンスのページ
クボタhttps://agriculture.kubota.co.jp/after-support/self-maintenance/
ヤンマーhttps://www.yanmar.com/jp/agri/afterservice_support/selfcare/tractor.html
イセキhttps://products.iseki.co.jp/cms/upload/products/self_check.pdf
三菱マヒンドラ農機https://support.mam.co.jp/manual/Manual_List各農機具の取扱説明書を参照してください。
オーレック(草刈り機)https://www.orec.co.jp/maintenance/
ニプロ松山(作業機)https://www.niplo.co.jp/support/index.php各作業機の取扱説明書を参照してください。

以上のようなメンテナンスを定期的に行っていれば、農機具の寿命を延ばすことが可能です。農機具の買い替えで下取りや買取依頼するときも値段がつきやすくなるため、メンテナンスは欠かさないようにしましょう。

まとめ

この記事では、農機具の耐用年数や中古農機具の減価償却、農機具の寿命、寿命を延ばすためのメンテナンス方法を紹介しました。

農機具の耐用年数は7年です。一部年数が違うものもありましたが、概ね7年と考えて問題ありません。農機具の買い替えなどで参考になれば幸いです。

特に中古農機具の減価償却は、新品と違うため、担当の税理士さんや税務署に確認をしてください。

この記事が農機具の購入や買取を考えている方の参考になれば幸いです。

農機具王 編集部